ピアノを弾くならボディマッピングしよう!知るだけで肩、腕、手首の動きがスムーズになる

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ピアノのレッスンで、「もっと体全体で弾きなさい」と言われたことはないだろうか。確かにクラシックの名曲などを弾いていると、ピアノは指先だけで弾くものではないことは経験上わかってくる。

では、どうすればいいんだろう。そんなに動き過ぎても弾きにくいし…

確かに、やみくもに動くことが正解ではないだろう。

音を奏でているのは指先ではあるけれど、その一音のために体がどのように動けばしっくりくるのか。そんな体の動かし方が知りたくて、思わず購入した一冊の本がある。

『ピアニストならだれでも知っておきたい「からだ」のこと/トーマス・マーク(春秋社)』

この本に書かれているボディマッピングは、体の動かし方について画期的な気づきを与えてくれた!(けれど項目が多すぎて未だに全部読んでいない、汗)

今回はその中で、わたしにとって演奏する上での必要不可な認識となった骨格部分(頭蓋骨・肩関節・手首)の気づきについてまとめてみた。

  • ボディマッピングとは
  • 知ると役立つ3つの骨格構造【頭蓋骨・肩関節・手首(指)】
  • まとめ:体全体で弾くとは

骨格構造を知るだけで本当に動きやすくなるので、ぜひ参考にしてみてほしい。

ボディマッピングとは

体全体を使って演奏するには、自分の体をどう認識しているかにかかっている。

そのために必要となってくるボディマッピングについて紹介しよう。

 

ボディマッピングとは

ボディマッピングとは、簡単に言うと自分の体の骨格や筋肉の配置を正確に把握して、それを元にして体を動かすというものだ。

誰でも頭の中に何となく自分の体の構造イメージを持っていて、普通は体の作りを見かけ通りのイメージで捉えている。肩といえば胴体から腕につながる部分であるというように。

しかし、ボディマッピングによって体を骨格構造から理解すると、首や背中、肩や腕、手首などの位置関係やその動きが見かけ通りの体とはかなり違うことに気づかされる。

また体を骨格で捉えると、動きの起点が体のより中心部にあることや関節部分の連携がわかってくる。それを頭に入れて動作をすると、知らないがゆえに使っていなかった部分も動かすことになり、その結果パワーや柔軟性がアップする

こんな作りになっているからこんな風に動くんだ、と理解することでそのように体を使うことを自分に許可できるようになる。そうやって動かしたとき、とてもスムーズでラクに動かすことができるのだ。

人は認識している部分しか活用できないってことなのね。

そうなの。だからボディマッピングで体の作りを知ると、もっと伸びやかに動かせるのよ!

 

ボディマッピングでいつでも崩れた姿勢を修正できる

ボディマッピングで何が気に入っているかというと、体の骨格構造が頭に入っていることで崩れた姿勢をすぐに修正できるという点だ。

骨格や筋肉は普段目に見えないので意識することがないが、ボディマッピングしていると自然に脊柱を意識するようになり、気づくと体の軸ができている

体の軸(脊柱)を意識すれば、それに付随する骨格が定位置に戻るし、軸から動く感覚があるので普段の姿勢や動作もラクになる。

スポーツや音楽など体を使う活動なら、軸を意識することで動きやすさをもっと実感するだろう。

とにかくわたしは身体に力が入りやすい。だからピアノを弾いていなくても力んでいてリラックスできていないことが多々ある。そんなときはボディマッピングで骨格の配置に意識を向けてニュートラルにする。そうするとバランスがとれて力みのない姿勢になれる。

ピアノ演奏ではボディマッピングした状態で弾いているので、実はピアノを弾いている時の方が体の状態がラクだったりする。

ルーズな姿勢ってラクなようでいて実はバランスが崩れてしんどかったりするのよね。

 

ボディマッピングすると、体の連携がとれて動きやすくなる

ボディマッピングによって骨盤や脊柱、肩甲骨などの配置がわかることで自然と体の軸を感じるようになり、手や足を使うにも体の軸から動くようになった。そしてそのほうが疲れないということに気づいた。

たとえば手を挙げてと言われたら、手のひらから上に向かっていき、腕や肩はそれにつられて動く感覚はないだろうか。

ボディマッピングできている状態では、鎖骨(※胸鎖関節)から動いて肘、手首、最後に手のひらをパーにするという動きになる。どんな動作であっても、その動きがどこを起点として動けばいいのかわかるのだ。

ボディマッピングできていなければ、手と鎖骨/肩甲骨がつながっているとは意識しないので体の末端を独立させた意識で動かしてしまう。

ピアノでいうなら指先だけを動かして弾くようなもの。それではフォルテはもちろん、その他の多彩な音色は出せないし、出そうとすると無理をすることになるので手を傷めてしまう。

指は指だけで独立して動くのではない。元をたどれば胸鎖関節という起点となるところから動かすのが本来の動きになるのだ。

 

ボディマッピングは骨格をイメージするので言葉による誤解をうまない

よくピアノは背中で弾くとか、肩から弾くなどと表現される。両方とも同じようなことを言いたいのだろうが、とかく誤解を生みやすい。何しろ背中と肩は違う場所だし…

背中で弾くようにと言われたら、ことば通りに受けとれば背中の筋肉を良く動かすだろう。そして指先だけで弾いていたのなら格段に良く弾けるように感じるだろう。

肩で弾くようにと言われたら、これも末端だけで弾いていたのなら多少よい音になるだろう。

でも、肩という場所の認識は人によってまちまちなのではないだろうか。

胴体からくっついた腕の付け根辺りを肩と認識していたら、本来の動きからくる素晴らしい効果は得られないだろう。

その点ボディマッピングは骨格でイメージするので誤差がない。人間の関節は皆共通しているから。

結論として、ピアノ演奏における指の動きの起点は『胸鎖関節』である。肩でも背中でもなく本来はそこから動き出すべきなのだ。詳しくはこちらへ。

 

知ると役立つ3つの骨格構造【頭蓋骨・肩関節・手首(指)】

冒頭で白状したようにわたしはこの本をすべて読んではいない。けれどザっと見て、その中でわたしが早急に取り入れることが必要だと思った3つの項目についてまとめてみた。

頭蓋骨

4~6kgあるといれる頭蓋骨だが、これを脊柱の上に正しく配置させることでバランスがとれ、それによりに正しい脱力と重心をとることが可能になる。

  • 頭は首で支えられているという見かけ通りの認識を改めて、骨格構造で捉え直す。
    脊柱の先端に頭蓋骨の中心部が乗っかっていて、やじろべえのようにバランスをとっているイメージ。

重心をとるには、骨格だけで体のバランスをとって脱力することが必要。そのためには当然頭蓋骨も骨格だけで支えられている感覚が必要となる。頭蓋骨のバランスがとれなければ、それ以下の肩、腕、手首の脱力が不完全になる。

脱力についてはこちらの記事を参照してほしい。

レッスンでは教わらない⁉「重心と脱力の正しい理解」でピアノがもっと弾きやすくなる!
ピアノでは二本の足の裏、イスと接触しているお尻、鍵盤と接触している指先でバランスをとっている。 つまり、床、イス、鍵盤に接触している面を支点として、そこにかかる重心が、からだが動くたびに安定ポイントを求めて常に移動しているのだ。これが上手く機能していないと、ある箇所では弾きにくいということが起こってしまう。

ボディマッピングでは、頭蓋骨は耳と耳を結んだ中心あたりが基底となっていて、そこが脊柱にのっかってバランスをとっている。図:赤色部分

正面から見ると顔の下半分まで脊柱が埋まっていることになるので、考えるとちょっとエグい!

でも、横から見れば妥当な位置なんじゃない?

とにかくそのように頭蓋骨と脊柱の位置関係を理解したことで、脊柱と頭蓋骨の連結部のイメージがしやすくなってバランスも意図的にとれるようになった。

バランスがとれるということは、頭を支えるために首筋に力を入れる必要がなくなったのね!

首に力が入ってしまうと、それより下の肩や背中をどんなに弛めようとしてもどこかしら固さが残る。

骨格構造を理解できていれば、脊柱の先端に頭蓋骨がバランスよく乗っかっていると思えるので、筋肉で首と頭をつないでいるとは考えなくなる。

なので、脊柱の上でやじろべえのように上手くバランスがとれるようになったのだ。もしくは頭の動きに合わせて脊柱が上手くバランスをとってついていっている感じだ。

(イメージ/やじろべえ・長崎くんちの竜の頭)

 

肩関節

腕の起点が、胴体の一部である肩とつながっている関節部分からであると理解していては、腕の可動域は狭いままで、ダイナミックで自由でラクな演奏は望めない。

肩甲骨から動くという認識はまだましだが、それでも不十分だ。もっと正確に把握できた方がいい。

  • 手の動きは鎖骨、肩甲骨、腕、手首、指の連携で起きる。
  • 手の動きの起点は鎖骨の先端とつながる胸鎖関節という体の中心部にある。

確かに肩関節は図:水色矢印部分(くぼみ)に上腕骨が接合しているが、腕の起点はそこではない。

まず、肩甲骨と鎖骨はセットで動く。図:青色矢印(鎖骨)/緑色矢印(肩甲骨)

鎖骨を上げれば肩甲骨も上がり、肩甲骨を回せば鎖骨も回るというように。

そしてこのセットのうちの鎖骨の端っこが胸鎖関節と呼ばれる一点でつながっている
図:赤色矢印(胸鎖関節)

これは胸骨と鎖骨をつなぐ関節であり、腕の骨格とそれ以外の骨格をつなぐ関節である。ここを起点として腕は動き、指へと伝わる

【胸鎖関節→鎖骨/肩甲骨→腕→手首→指】

腕の動きは胴体との接合部ではなく『胸鎖関節』という体の中のより中心部に起点があるので、そこから意識的に動くと大きく力強くスムーズに動ける

見かけ通りの腕のはじまりを起点とするよりパワーがでるよね。

注目すべきは肩甲骨や鎖骨は身体の中で固定されているのではなく、胸鎖関節という一点だけでつながっているということ。これにより上下・前後・回転という3つの動きが難なくできてしまうのだ。

固定箇所(接合部分)が二か所以上より一か所の方が可動域が広がる!

そのように理解して動かすと、それまでより動きの範囲が広がり、伸びやかでラクに動かせることに気づく。

認識し直すだけで結果がずいぶん違うのね。

このような正しい骨格の構造を理解できていなければ、鎖骨や肩甲骨は固定され、腕はそれらとは独立した部分であるというイメージをもつため、動きが制限されるだけでなく体を傷めてしまう可能性がでてくる。

指を動かすときも胸鎖関節から動くイメージを持てば、あとは鎖骨/肩甲骨、上腕、肘、手首から指へと何もしなくても連動して動くことを感じられるだろう。

このように骨格構造を正しくイメージするだけで動きが一遍にスムーズになる。

 

手首(指も含む)

もっと手首を柔らかくして!と言われるが、言う方も言われる方も手首という場所を正しく認識できているのだろうか。わたしはこの本で知るまで手と腕の境目であるくびれ部分だと勘違いをしていた。

  • 手首はくびれ部分ではなく、手の付け根付近に8つの小さな骨の集まりで構成され納まっている。
  • 指のはじまりは見かけ上の指の付け根ではなく、手の中に納まっている手根骨(手首)から先が指になる。

手首関節は、実はくびれではなく手の中に納まっているのだ。

図で見ると、手根骨と呼ばれる8つの骨が二列に並んだ部分(色付き)が手首になる。

これってほとんど手のひらじゃん!

この衝撃は、ペンギンの足は実は長くて体の中に膝を折り曲げた状態で位置していること。つまり見えている足は足首から下だった!ということを知ったときの驚きに似ている。

因みに、指のはじまりも実は手の中に埋まっていて皮膚でいう指の付け根からではないということだ。つまり手根骨(手首)から先がもう指になっている。この部分も手の中に納まっているが、指の動きはここから始まっていると考えるのが正解だということだ。

確かに手首が小さい骨の集まりであることや、指のはじまりが手の中にあると認識すると、普段意識することのないその部分の緊張を意識的に解くことができる。その結果打鍵した音の伸びがよくなる

けれど手首の場所を間違って認識していると、いつまでたっても効果的にその部分を弛めることはできないだろう。

指も見かけ上の指の付け根から動かすよりも、もっと手首側から動かすイメージを持つと可動域が広がり演奏しやすくなる

このように知るだけで簡単に効果を得られるのが、ボディマッピングの有益なところだ。

余談だが、わたしは掃除機など家事労働などでついつい手首に力が入ってしまう。そんなときは意識的に手根管を弛めるようにして労わっている。

手首を傷める女性は多いような気がする。色々な原因があるだろうけど、正しい手首の位置を知って意識的に弛めることで痛みなどのトラブルも防げるかもしれない。

 

まとめ:体全体で弾くとは

ピアノを体全体で弾くとは、十分に体を使うということを意味する。しかし、既存の認識では情報が足りなくて十分に体を使えていない。

なぜなら、認識できていない体の部分は使うことがないから。なので、パフォーマンス的にとても損をしている。

体全体で弾くためにはやはり体の正しい構造を知っておくことが必要なのだ。

一般的なイメージで、例えば手首はこの場所、腕はここから動くと思い込んでいることで体の動きに制限をかけていたことがわかる。その思い込みが正しいものであったのなら問題はないのだが、そうではなかったから弾きにくかったのだ。

ボディマッピングすると体の骨格構造を正しくイメージすることができる。そしてそのイメージにそって実際に動くことで体を十分に使うことができる。なおかつ、体を正しく動かしているので演奏することもラクに感じる。

体の正しい構造を頭に入れることが、体の動きを最大限に生かすことになるというわけだ。

《知ると役立つ3つの骨格構造》

頭蓋骨

  • 頭は首で支えるのではなく、脊柱の先端に頭蓋骨の中心部が乗っかっていて、やじろべえのようにバランスをとっている。
  • 頭蓋骨のバランスがとれなければ、それ以下の肩、腕、手首の脱力が不完全になる。

肩関節

  • 手の動きは鎖骨、肩甲骨、腕、手首、指の連携で起きる。
  • 手の動きの起点は鎖骨の先端とつながる胸鎖関節という体の中心部にある。
  • 肩甲骨や鎖骨は身体の中で固定されているのではなく、胸鎖関節という一点だけでつながっている。これにより上下・前後・回転という3つの動きが難なくできる。

手首(指)

  • 手首はくびれ部分ではなく、手の付け根付近に8つの小さな骨の集まりで構成され納まっている。
  • 指のはじまりは見かけ上の指の付け根ではなく、手の中に納まっている手根骨(手首)から先が指になる。

 

最後までお読みいただきありがとうございました♪

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